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源氏川苦心の銀幕愉悦境

映画の感想文。1950-60年代の邦画娯楽作が中心であります。

若さま侍捕物帖

2020.08.06 (Thu)
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#00226「若さま侍捕物帖」
秘剣一文字崩し


製作国:日本
製作会社:東映(京都撮影所)
監督:佐々木康
出演:大川橋蔵/桜町弘子/三田佳子/山形勲
公開:1960年12月27日


 大川橋蔵による「若さま侍捕物帖」シリーズ、第八弾であります。今回はサブタイトル無しの無印。かういふ場合、東映ではオールスター映画になる事が多いけれど(「旗本退屈男」しかり、「赤穂浪士」しかり、「水戸黄門」しかり)、これはさういふ訳でもないやうです。しかし正月の痛快娯楽映画として、明るく華やいだ雰囲気がいつぱいであります。
 監督はシリーズ初参加の佐々木康、脚本はザ・東映時代劇といふべき結束信二。名の通り良い意味でも悪い意味でも「お約束」が散りばめられてゐます。

 御屠蘇気分の正月に、御用商酒問屋伊勢屋の酒に毒が入つてゐたとして、伊勢屋が取り潰しになるといふ事件が起きます。番頭の沢村宗之助の懇願も叶はず、主の明石潮はそれが原因で死んでしまつた。この明石といふ役者は、かういふ役が多いですな。
 無論これには裏があり、伊勢屋のライヴァル・三島雅夫が御用酒問屋の座を得んと役人・山形勲と結託して打つた茶番劇なのでした。三島は琉球踊りの歌手・岡田ゆり子を山形に世話するといふ密約を交はしてゐて、山形は更に伊勢屋の娘・三田佳子まで狙つてゐます。三田が自分の物になれば、お家の処分を取り消してやらうとの交換条件を出すのですが、かかる無法を見逃す若さまではありません。次々と襲ひくる刺客を赤子の手を捻るやうに退け、ワルどもが琉球一座の公演を観覧する中、突然現れたのが若さま。すべての証拠を揃へ、秘剣一文字崩しでワルを斬る!

 出演陣としては、ワル側に山形・三島のほか老中・坂東好太郎、英明院・花柳小菊、三島の用心棒・戸上城太郎、山形の手下に吉田義夫など。加賀邦男も憎たらしい。これらの人たちは善役の出演もありますが、画面にパット登場した時に「あ、これはワルだな」と一目で解る動きと表情をするので、流石と存じます。
 若さま側では、ヒロインおいとが今回桜町弘子、前回おいと役の花園ひろみが恋敵に廻るからややこしい。遠州屋小吉は初の本郷秀雄、佐々島俊蔵に千秋実でふたりともやや喜劇的であります。

 捕物帖は十手を駆使して立ち回りをするので非現実的で面白味がない、といふ人がゐます。「若さま侍」の場合は主役が侍なので刀を駆使して頂きたいものであります。扇子でチョイ、チョイとやつただけで相手がやられるといふのはをかしいでせう。
 とはいふものの、橋蔵の若さまぶりもすつかり板につき、余裕を見せるとともに、「やはり自分は世間知らずなのか」と苦悩する人間臭い場面も挿入して、当時の橋蔵ファンの心を掴んだ事でせう。
 デハ皆様、また逢ふ日まで。


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若さま侍捕物帖 紅鶴屋敷

2020.08.05 (Wed)
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#00225「若さま侍捕物帖 紅鶴屋敷」
五千両をめぐる黒い欲望


製作国:日本
製作会社:東映(京都撮影所)
監督:沢島忠
出演:大川橋蔵/桜町弘子/花園ひろみ/月形龍之介
公開:1958年12月15日


  大川橋蔵による「若さま侍捕物帖」シリーズ第七弾であります。今回は「紅鶴屋敷」とな。一体何の事でせうか。
 若さま(大川橋蔵)はとある漁村の舟祭りを見物にやつてきました。気楽な身分で結構なものです。この舟祭りに、何やら得体の知れぬ四人組が徘徊してをります。これは紅鶴屋敷の現在の持ち主・越後屋の勘当息子・清吉(片岡栄二郎)とその仲間たちでした。富田仲次郎の姿も見えます。良からぬ目的であるのは明白ですが、この仲間たちは何者かに殺されてしまふのです。更に清吉の伯父(原健策)も同様であります。早速捜査を開始する若さまでした......

 第七作は監督が沢島忠に交代。脚本は「多羅尾伴内」で有名な比佐芳武なので、さぞかし馬鹿々々しい設定と荒唐無稽な展開が待つてゐるのだらうと思つたら、正統派の推理ものになつてゐます。紅鶴屋敷の由来、それを利用する人物たちの思惑がスリラア仕立てで物語を盛り上げます。
 若さまが住みつく船宿・貴仙の娘おいと役が星美智子から花園ひろみに交代しました。星美智子さん良かつたのに。遠州屋小吉も星十郎から沢村宗之助へ。見慣れた顔ぶれが消えると寂しいですな。ただ沢村宗之助は悪役も多いが、善人役や剽軽な演技も出来る上手い人であります。

 桜町弘子河野秋武は煙を見て何をするのか。ワルども(原健策進藤英太郎・そして月形龍之介)らの関係は何か。観客の興味を最後まで持続させます。
 ワルトリオはトーナメント式で最後は月形が残る訳ですが、若さまにより全てが暴かれて陰謀は砕かれるのでした。紅鶴屋敷を取り巻く噂も消え、平和が戻るのであります。
 シリーズ物はとかくマンネリになりますが、それがウンザリ感になる場合と、病みつきになる場合があるやうに存じます。私見ではこのシリーズは幸ひ後者なので、まあ安心して観られる勧善懲悪ものと申せませう。橋蔵もスタアのオーラを見せてをります。
 デハまた、御機嫌よう。


若さま侍捕物帖 鮮血の人魚

2020.08.04 (Tue)
無題

#00224「若さま侍捕物帖 鮮血の人魚」
尾張藩の一大事


製作国:日本
製作会社:東映(京都撮影所)
監督:深田金之助
出演:大川橋蔵/星美智子/千原しのぶ/大川恵子/進藤英太郎
公開:1957年9月29日


 サテ橋蔵の「若さま侍捕物帖」シリーズ、第六弾であります。深田金之助監督が続投。六作目にして遂に総天然色、シネスコとなりました。サブタイトルが「鮮血の人魚」ですよ。怖いですねえ。これは以前原作を読んだことがあります。「人魚鬼―若さま侍捕物手帖」 若さまの出番が少なかつたやうな記憶があります。もつとも映画版では大川橋蔵のファンが黙つてゐないので、若さま大活躍です。

 川開きの花火大会の夜、花火師の六兵衛(中野雅晴)が船上で殺害された事件から始まります。船の周りでは何と人魚が泳いでゐたといふ。人魚ですよ。更に殺人が続き、例によつて遠州屋小吉(星十郎)が若さま(大川橋蔵)を連れ立つて捜査に当ります。今回はトン平が復活してゐるやうですね。岸井明

 新型火薬を巡る、ワルどもの暗躍を描いてゐます。同時に尾張藩乗つ取りの陰謀が絡む物語。無論我らが若さまが万事解決する訳ですが。
 坂東蓑助進藤英太郎が登場します。大物です。おいと役は引き続き星美智子。女すり役に千原しのぶ。この人は本当にかういふ役が似合ふ。最後は可哀相でした。姫様には大川恵子。この人は本名・加古啓子で名古屋出身。加古といふ苗字は愛知県に多いのです。どうでもいい話題ですが。伏見扇太郎の名があつたので気にしてゐましたが、病気の尾張大納言役でしたか。

 ところで人魚及び人魚島といふのが良く分からない。推理ものといふより伝奇ものの側面が強いですかな。ところで捕物帖シリーズは後半になると猟奇的な話が増えてくる印象があります。特に高田浩吉の伝七とか。
 あまりリアルさを追究しない方が良いとは思ひますけど......


若さま侍捕物帖 深夜の死美人

2020.08.03 (Mon)
無題

#00223「若さま侍捕物帖 深夜の死美人」
連続殺人事件に挑む若さま


製作国:日本
製作会社:東映(京都撮影所)
監督:深田金之助
出演:大川橋蔵/星美智子/浦里はるみ/星十郎/薄田研二
公開:1957年4月2日


 大川橋蔵による「若さま侍捕物帖」シリーズの第五弾であります。
 春祭りに沸く江戸の町。しかし翌日から連続殺人の報が。まづ大工の政五郎(加藤嘉)が殺される事件が起きます。加藤嘉は冒頭、殺されるだけの役で気の毒でした。続いての犠牲者は政五郎の娘、おあい(若水美子)。捜査に当つた遠州屋小吉(星十郎)は例によつて、若さまの知恵を借りることに。

 そんな折、遠州屋は骨董屋の金正(薄田研二)が息子の宗七(徳大寺伸)に女を背負はせてゐるところに遭遇します。負ぶさつてゐる女は金正の娘おさと(美鈴れい子)で、殺されてゐました。第三の殺人。しかし父親の金正はこの捜査に非協力的で、人の家の事はほつとけといふのです。これは何かあるぞ......若さまの調査も本格化いたします。

 今回も明朗時代劇、快調です。監督は深田金之助が復帰、主要キャスト陣はよく見ると、前作「鮮血の晴着」とほぼ被つてゐますよ。見事なくらゐ。前作の公開日が1957年3月4日、本作が同年4月2日と一か月も間が空いてゐない事から、同時に撮影したのでせうか。「せつかくみんな集まつたのだから、いつそもう一本撮るか!」なんてね。
 おいとの星美智子、遠州屋の星十郎は続投、ふたりとも適役です。ワルは阿部九州男富田仲次郎が兄弟役、不気味な雰囲気を漂はせるのが薄田研二。阿部らにすりを依頼される女巾着切りに浦里はるみ。悪事を暴いても、彼女に危害が及ばぬやうにを仕事させる若さまの判断はファインプレイと申せまう。

 やはり橋蔵の高笑ひは違和感がありますが、慣れてしまへばそれほど気にならなくなります。58分と短い事もあつて、無駄が少なく破綻もなく、安心して観られました。デハまた。


若さま侍捕物帖 鮮血の晴着

2020.08.02 (Sun)
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#00222「若さま侍捕物帖 鮮血の晴着」
薄田研二の流し目


製作国:日本
製作会社:東映(京都撮影所)
監督:小沢茂弘
出演:大川橋蔵/星美智子/浦里はるみ/薄田研二/星十郎
公開:1957年3月4日


 橋蔵による「若さま侍捕物帖」の第四作目。札差の越後屋に強盗が押し入り、主と女房が殺される事件が勃発します。更にその夜、質商阿波屋六左衛門(徳大寺伸)が血染めの晴着を持つて殺されます。これがタイトルの由来ですかな。そしてその阿波屋の前で若い侍(片岡栄二郎)がうろついてゐる姿が。事件と関係があるのでせうか。
 遠州屋小吉(星十郎)は自分の手に余ると、若さま(大川橋蔵)に相談します。若さまはこの事件を先刻承知のやうで、早速動き始めるのでした......

 第四作目は監督が小沢茂弘に交代。橋蔵は相変らずべらんめえ調と合ひません。しつくりくるまでもう数作待つことになります。例へば東千代之介なんかも砕けた役は不得手のやうですが、もう少し違和感なく演じさうな気もします。まあどうえもいいけど。レギュラー星美智子・星十郎は安定してゐますが、今回トン平役がゐないのが残念。
 それにしても、何故か本作は59分と馬鹿に短い。相変らず白黒作品だし、B面扱ひの作品でせうか。橋蔵の主演作でもこんな扱ひだつたのかな。まあそれなりに面白いからいいのですが。


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