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ドン・ジュアン


ドン・ジュアン (岩波文庫)ドン・ジュアン (岩波文庫)


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ドン・ジュアン
モリエール【著】
鈴木力衛【訳】
岩波書店(岩波文庫)刊
1952(昭和27)年1月発行
1975(昭和50)年12月改版


学生の頃は仏文科に在籍してゐたため、当時は片端からフランスものを読んだのであります。その一冊。
並び称されたコルネイユ、ラシーヌは、少なくとも日本ではあまり語られなくなつたのに対し、このモリエールはまだ読まれてゐるやうです。

有名なドン・ジュアンのお話。元元はイタリアではなくスペインが発祥の地ださうです。
モリエールがドン・ジュアンを題材に芝居を書いたのは、もつぱら商売上の事情のやうであります。別段自らの文学的創造のためといふわけではなく、当時のモリエール一座の金勘定のために一気に書かれたものらしい。これはびつくり。さういはれてみると、書き方や話の展開が少し粗く感じます。いはれなければ気にしないけれど。
良くいへばスパッと分かりやすく男性的である。三船敏郎の殺陣と同じですな。

そしてドン・ジュアンの従僕であるスガナレルがよろしい。何かと博識をひけらかし俗物ぶりを発揮してゐます。当時の風潮や時事問題を揶揄したと思はれるせりふもあり、時に毒を含んでゐます。『タルチュフ』が上映禁止になつた腹いせでせうか。
先入観を持たずに読めば、驚くほど新しい内容に「ほほう」と声が出るところであります。

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ロミオとジュリエット


ロミオとジュリエット (新潮文庫)ロミオとジュリエット (新潮文庫)



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ロミオとジュリエット
ウィリアム・シェイクスピア【著】
中野好夫【訳】
新潮社(新潮文庫)刊
1951(昭和26)年11月発行
1996(平成8)年12月改版


花のヴェローナにていがみ合ふ名家同士、モンタギューとキャピュレット。この犬猿の仲である両家の娘と息子が、あらうことか恋に落ちたのであります。ああ、何といふ運命のいたづら。
キャピュレットの娘ジュリエットは一人バルコニーにて、「おおロミオ、ロミオ、どうして貴方はロミオなの?」といふ有名なセリフを吐きます(本書の中野好夫訳では、更に大時代な言ひまはし)。
このセリフだけ見て「何だ、この娘は馬鹿なのか?」とつぶやきたくなるかも知れませんが、要するに「なぜ貴方はよりによつて、敵対するモンタギュー家のロミオなのか」といふことですね。冷静に粗筋だけ見ると「有り得んよ」などと言ひたくなるところですが、読み進むうちに物語にのめり込み、涙するのであります。恋愛悲劇の古典として、今後も末永く読み継がれると思はれます。

ところで新潮文庫の沙翁作品は、ほぼ福田恆存氏の翻訳で統一されてゐますが、この『ロミオとジュリエット』のみ中野好夫氏の翻訳。「注」などで、いかに自分は苦労して訳したかを自慢してゐます。苦労したけど、どうです、名訳だらう、さう言つてくれよと行間から読み取れます。
楽屋裏を披露しなければ理解できぬ邦訳はちと辛いのであります。地口や駄洒落の翻訳はまことに難しい。俗語卑語も、原文に使用されてゐるなら当然訳語もそれに相当するものを駆使するのは当然でございます。しかしその時の流行語を使つてしまふと、歴史的審判に耐へられないでせう。「アチャラでは」とか。福田氏の翻訳に差替ることは出来ないものでせうか。
ま、いいけど。

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すべての子供たちに


 

すべての子供たちに―ボリス・ヴィアン詩集
ボリス・ヴィアン【著】
ミッシェル・グランジェ【絵】
永瀧達治【訳】
マガジンハウス刊
1994(平成6)年6月発行


ボリス・ヴィアンの詩とミッシェル・グランジェの絵。両者を結託させたのは訳者である永瀧達治氏。訳者あとがきで、自らのこの所業を自慢気に語ります。お茶目なのです。
と訳知り顔をしてゐますが、ミッシェル・グランジェといふ人は知りませんでした。
なんだか、エキセントリックといふか、苛立ちを隠せないやうな作風。必ず球体(地球)が登場します。
グランジェとヴィアン、二人の共通点はあまり感じられませんが、それが良いのかもしれません。

死神に向つて「君は何と辛抱が足りないことか」と詰め寄るボリス・ヴィアンには、無上の優しさを感じます。同時に諧謔精神、厭世観が適当に混つてゐます。JAZZYであります。
彼の、訳の分からない小説に比して、この詩集では真にストレートに挑発してゐます。
例へば『北京の秋』を読んで(あるいは通読できずに)、ボリス・ヴィアンから離れた人がゐましたら、本書を読んで、もう少し彼にお付き合ひください、とつぶやきたくなるのです。

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正津勉詩集


 
正津勉詩集
正津勉【著】
思潮社(現代詩文庫)刊
1982(昭和57)年8月発行


正津勉氏の詩を知るきつかけとなつたのは、以前もちらりと触れた雑誌「翻訳の世界」であります。
英語を母語とする人たちがチームを成して、日本現代詩のこまわり君といはれた正津勉の詩を英訳するといふ連載企画がありました。
座長のロバート・ワーゴ氏(本書で解説を書いてゐます)と男女ひとりづつの米国人、それに正津勉さん本人を含む4人の座談(でもないか)形式で英訳がずんずん進むのであります。
連載1回分につき1篇の詩が原則で、詩集『おやすみスプーン』及び『青空』を中心に選んでゐました。

翻訳に行き詰まると、詩人本人に「ここはどういふ意味か」などと尋ねたりして、リアル感があります。
「おやすみスプーン」には「わたしはおまえをひゃと舌にのせて」といふ一行があり、この「ひゃと」といふのはどんな副詞なのか、とか。あるいは「暑熱」での「わたしは視る」なるフレイズでは、「見る」とどう違ふのか、なんて問合せがあつたり。ちなみに詩人は「強いていへば意思がこもつてゐる」などと答へてゐました。

性と暴力を真つ向から扱ふ彼の詩に、拒否反応を示す人がゐるといふことは後で知りましたが、私は前記の連載を読んでゐて、全く気にならず、むしろ奥底にあるはにかみ、優しさに共感した覚えがあります。確かにまあ「蛆」なんて詩は、内容だけ追ふと「うげッ」となるかも知れませんが、同時に心地良さも感じるのであります。何度も繰り返し読んでしまふ。不思議と申せませう。

正津勉への質問「QUESTION35」がまた面白い。
「わたしにとって「抒情」とは、抒情を笑殺する非情ともいうべきものである」
「(詩は)前衛? ノン! 詩は絶対に後衛にこそ拠って起つべきである」
「生涯に一度でいい。受付嬢がいて、ガードマンがいて、茶道部がある会社に通勤する自分を夢みなかった詩人がいるだろうか」

児童記録やエッセイみたいなものも併録されてゐて、総合的に正津勉の世界が味はへます。イイよ。

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夕鶴・彦市ばなし


夕鶴・彦市ばなし (新潮文庫)夕鶴・彦市ばなし (新潮文庫)


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夕鶴・彦市ばなし
木下順二【著】
新潮社(新潮文庫)刊
1954(昭和29)年5月発行
1966(昭和41)年5月改版
1988(昭和63)年12月改版


中学生の時分に山本安英さんの「夕鶴」を見せてもらつた事があります。何といふか迫力に圧倒された記憶がありますが、中学生にその本領が理解できたか疑問であります。もう少し大人になつてから再度鑑賞したいと勘案してゐましたが、叶ひませんでした。

「つう」は命の恩人「与ひょう」に恩返しをすべく女房になるのですが、「与ひょう」は周囲の欲深な仲間にそそのかされて「つう」に布を織つてくれと頼みます。お金を得て、都見物に行きたいといふのです。
「おかね」の話をする人たちの言葉が「つう」には分かりません。最初は普通に通じてゐた「与ひょう」の言葉も段段理解不能になつてゆきます。
「与ひょう、あたしの大事な与ひょう、あんたはどうしたの?」に始まる「つう」の台詞。泣かせますが、その思ひは結局「与ひょう」に届かないのであります。それにしても美しく、悲しい台詞であります。男としては、「与ひょう」の馬鹿たれ!と罵りたい気分でございます。
「もう一枚だけ」といふことで布を織つてもらふ「与ひょう」。しかし機を織つてゐるときは決して覗いてはいけないといふ約束を破つてしまふのです。そして結局「つう」との別れを招くのでした。愚かな男。

他の収録作品。「三年寝太郎」は教科書で読みましたね。シャックリの擬音は「ギョッ」であることを知りました。「聴耳頭巾」を使つた藤六は成功に味を占めることなく、「この頭巾もあんまり使うもんではねえな」と達観してゐます。「木竜うるし」における藤六(同じ名前だ)のやうな人物は、ひとつの理想型であると存じます。「わらしべ長者」の男は、昔話のやうに、「わらスボ」に結いつけた虻をもとに甘いことを考へてゐます。衝撃の結末。「瓜子姫とアマンジャク」これは傑作! さらに「彦市ばなし」「絵姿女房」。
これらの作品群は音読したいものです。カッコイイ日本語。ある高名な作家が、木下順二のやうな美しい日本語を書ける人が標準語で芝居を書かないのは残念だ、といふ意味の事を書いてゐましたが、これはこれで良いぢやないですか...

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