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聞いて、ヴァイオリンの詩


聞いて、ヴァイオリンの詩 (文春文庫)聞いて、ヴァイオリンの詩 (文春文庫)



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聞いて、ヴァイオリンの詩
千住真理子【著】
文藝春秋(文春文庫)刊
2009(平成21)年7月発行


千住真理子さんはわづか2歳3ヶ月でヴァイオリンを始めました。一般的にヴァイオリンの習ひ始めは早いのださうですが、それにしても早い。
大学時代に一度挫折を経験しますが、あることをきつかけに再びヴァイオリンを手にします。このくだりは感動的な話になつてゐます。

読む前は、人気ヴァイオリニストの気軽な身辺エッセイなのかなと思つてゐましたが、読み進むほどに、おほげさに言へば「自分の存在意義」みたいなものを感じさせるのであります。
わたくしも10代-20代の頃は、お金が欲しいとかモテたいとか、今思ふと刹那的なことばかり考へてゐたやうな気がします。しかしそれなりに年をとりますと、やはりそれ以上に「自分はこの世の中でどれだけ役に立つてゐるのだらう」なんてことを勘考するのであります。せつかく生れたからには、なるべく人の為になる生き方をしたい。
さういふ覚悟あるいは勇気を貰へる書物と申せませう。

といつて、堅苦しい本ではございません。家族との関係や演奏旅行の光景など、素顔を飾ることなく開陳してゐます。個人的には、駅弁を掻き込んでしやつくりが出さうになりお茶を飲む千住真理子さんがチャアミングだと思ひました。
精神的に壁にぶち当たつてゐる、と感じる方には特に一読をお薦めするものであります。
では、ごきげんよう。

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セルジュ・ゲンスブール ジタンのけむり

セルジュ・ゲンスブール ジタンのけむり―ねじれた男への鎮魂歌セルジュ・ゲンスブール ジタンのけむり―ねじれた男への鎮魂歌


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セルジュ・ゲンスブール ジタンのけむり―ねじれた男への鎮魂歌
シルヴィー・シモンズ【著】
田村亜紀【訳】
シンコー・ミュージック刊
2003(平成15)年5月発行


セルジュ・ゲンスブールの評伝といへば、今のところジル・ヴェルランのやつが決定版とされてゐるやうです。
実際アレは「これでもか!」といふほど多くの人物に取材し、貴重な証言が満載で面白かつたのであります。

で、本書は「初めて英語で書かれたゲンスブールの評伝」といふのがウリみたいです。
著者はシルヴィー・シモンズといふ英国の有名なロック・ジャーナリストだといふことです。
かつての世界の二大国である英仏は何かといがみ合つてゐることが多い。
英人は助平な事象に対し何かと「フレンチ」を冠し、同様に仏人は「アングレ」を付すのであります。そこまでしなくても、と思ひますが。
本書ではシルヴィー・バルタンのことを記す時に、わざわざ(フランスの人気歌手)みたいな注釈を入れてゐます。悪意すら感じるのはわたくしだけでせうか。

などと文句を言つてゐますが、これは編年体で書かれたセルジュの貴重な記録と申せませう。ジェーン・バーキンへのインタビューがかなりの量を占めますが、これ以上適任の人はありますまい。
なぜならセルジュ本人はサアヴィス精神も旺盛なので、話を脚色・捏造する恐れがある。その点、もつとも彼と同じ時間を共にしたジェーンは、さまざまな「あの事件」について新事実を語つてくれるのです。

巻末のディスコグラフィーも詳細でよろしい。さあ皆でセルジュを聴かうよ...

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わが愛の譜


 

わが愛の譜 滝廉太郎物語
郷原宏【著】
新潮社(新潮文庫)刊
1993(平成5)年7月発行


夭折の天才音楽家、滝廉太郎の評伝小説であります。17年も前に出てゐたのですね。
当時は映画にもなつたやうで、カバー表紙も映画に出演した俳優の写真が使はれてゐます。風間トオルさんですな。

大分県の豊後竹田駅では、列車が到着すると「荒城の月」のメロディが流れます。
私は3度行つてゐますが、いい所ですね。初めて行つたのは学生時代でした。偶然といふか成り行きだつたのですが。
夜行列車「富士」で大分へ到着した私は、荷物をコインロッカーへ預け駅前をぶらついてゐました。すると雑踏の中、若い女性が話しかけてきました。「あんた、大分の人ぢやないね。東京? ふーん、愛知か」。手ぶらで歩いてゐたのに、なぜ地元の人ではないと見破つたのか、不思議でした。
そして明日の予定は?などと聞いてくるので、その時何となく「明日は竹田へ行く予定」と答へると、彼女の態度が一変したのであります。即ち突然尊敬のまなざしになり、言葉遣ひも丁寧になりました。
「きつと、あなたは素晴らしい人ね...今夜どこのホテルに泊まるの? まだ決めてゐない? それならうちに来ませんか。泊まつていけばいい」...彼女は一人暮しだといふのに、さういふ話をするのでした。いささか不安になつた私は適当な返事をして、その場を去つたのであります。
しかし何だか竹田を訪れなければいけないやうな気になり、翌日行くことにしたのでした。

短い生涯の中で、名曲を多く遺した滝廉太郎。改めて早すぎる死が惜しまれます。何となく彼は石部金吉タイプかと思つてゐましたが、本書では実に人間臭く描かれてゐます。せめて中年といはれる年代まで生きていたら、どんな曲を書いてゐただらうかと夢想せざるを得ません...

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満月 空に満月


満月 空に満月 (文春文庫)満月 空に満月 (文春文庫)



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満月 空に満月
海老沢泰久【著】
文藝春秋(文春文庫)刊
2003(平成15)年10月発行


海老沢泰久さんが手がけた、井上陽水評伝であります。
タイトルの「満月 空に満月」は、初期の作品「東へ西へ」の歌詞から採られてゐます(たぶん)。
陽水さんは、元々父親の意向に沿うべく、歯科医を目指してゐたのですが、歯科大学の入試に失敗、結果3浪までしてしまひます。中学三年時に出会つたビートルズ音楽に衝撃を受け、夢中になりすぎてしまつたのであります。
なので影響を受けた彼は、自分の音楽はフォークではないとし、世間での認識とずれを示してゐるのがをかしいところです。

結局大学はあきらめて、生活のため音楽で身を立てやうとします。アンドレ・カンドレなんて名前でデビューするのですが売れないので、別のレコード会社へデモ・テープを持ち込むのでした。そこがポリドール・レコードで、多賀英典といふディレクターがゐました。この多賀さんはシンガー・ソングライターを発掘しやうと考へてゐたり、シングル中心のレコード業界に疑問を持つてゐたり、当時の井上陽水にとつてはこれ以上ない人物と申せませう。
この辺の事情は陽水ファンにとつては有名な話なのでせうね。

多賀さんと衝突もしながら、陽水は「氷の世界」で一挙にブレイクします。これから華々しい活躍が始まるといふところで本書は終つてゐます。単なるサクセスストオリィではないことがわかります。

幼時から二面性を持つた井上陽水。お年玉を「いりません」と断つたり、小学生時に「スタンダード・ナンバー」が好きな音楽だと答へてすぐに嘘を見抜かれる自分にショックを受けたり...「子供らしい子供」ではありません。そんな自分を自分で悩んでゐる陽水。社会的成功を得てもそれは変ることはなかつたさうです。海老沢さんはそんな彼に興味を感じたのでせうか。本書での陽水さんはいつも困惑し、悩んでゐます。まあ私なんかは、さういふ悩める陽水さんには茶目気を感じるのですが。
いはば人間的弱点をさらしながら、魅力を倍増させてゐるところが面白いのでした。

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指揮のおけいこ


指揮のおけいこ (文春文庫)指揮のおけいこ (文春文庫)



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指揮のおけいこ
岩城宏之【著】
文藝春秋(文春文庫)刊
2003(平成15)年1月発行


「週刊金曜日」での連載以来の再会であります。
『男のためのヤセる本』で、岩城宏之さんの文章の面白さを知つた私でしたが、この『指揮のおけいこ』を通して読むのは初めてでした。
読者を生徒に見立てて全17レッスン(おけいこ)の講義(?)が展開されます。

指揮者といふ存在は過大評価と同時に過小評価されてゐると著者は言ひます。それはどういふことかといふと、まるで理解されてゐないといふことであります。で、素人にも分かるやうに指揮者の生態を解説するのであります。それは良いのですが、諧謔精神に満ち満ちてゐるので、どこまでが冗談なのか本当なのか良く分かりません。
指揮棒はなくても何とかなるとか、若い頃レコードに合せて棒振りの練習をしたとか、ステージでは2センチ高い靴を履いてゐるとか、隠したくなるやうな事も開陳してゐます。私ら門外漢には意外な話ばかりで、声を出して笑つてしまふ。同時に指揮者を目指さうとする人たちには、勇気を与へる内容ではないでせうか。

その岩城さんが逝つて早4年。もう新しい文章は読めないと思ふと、残念であります。



ここで、前回大予言者の秘密 易聖・高島嘉右衛門の生涯について訂正といふか補足。
私がとりあげた角川文庫版は確かに絶版でありますが、実は昨年に光文社文庫から『「横浜」をつくった男―易聖・高島嘉右衛門の生涯』と改題された上で復刊してゐました。こちらは容易に入手できるのであります。
ま、どうでもいい情報でせうが、自分としては気になつてゐましたので、これですつきりしました。では。

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