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翻訳読本


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翻訳読本
別宮貞徳【著】
講談社(講談社現代新書)刊
1979(昭和54)年4月発行


著者の別宮貞徳氏はかつて「欠陥翻訳時評」などを通して、日本の翻訳界のレベルアップに寄与した人です。
兄上が音楽家の別宮貞雄氏であることは、割と最近知りました。迂闊な事であります。ベックなんて珍しい苗字なので、当然関連を疑ふべきでした。ちなみに別宮貞雄氏は東宝映画『マタンゴ』の音楽を担当してゐます。

『翻訳読本』では、そもそも翻訳とは何か、翻訳に必要なのは何かといつた原論から、実際に翻訳をするに当つての考へ方、技術論が開陳されてゐます。
「1.第一に必要なこと」では、翻訳を志す人たちが日本語をあまりに軽視(あるいは無視)してゐることに警鐘をならします。翻訳をする外国語の知識は当然必要ですが、それ以上に、日本語の力が不可欠であります。
「2.美しい翻訳のために」...美しいなどといふ言葉が出て「うは」と思ひましたが、丸谷文章読本により、文章の最低条件をさぐります。
「3.翻訳とは意訳である」...章のタイトルがズバリ内容を示します。日本語の表現力が乏しいのを「私は逐語訳主義者でして」などと逃げるのは卑怯な態度ですが、有名な本でもさういふ翻訳が多いのです。
「4.日本語らしい表現」は、本書の眼目と申せませう。日常語を使ひ、漢語を控へ目にする。人称代名詞を一々訳さない。日本語ではどう表現するかを忘れると、「かれは」「かの女は」を連発してしまふのです。関係代名詞が出現すると、どうしてもその後から訳して、「・・・スル所ノ」で片付けてしまふ。さすがに最近はあまり見かけませんが。英語と日本語の語順の違ひに拘泥せず、頭から訳してしまへと別宮さんは叫びます。
「5.相似ではなく相同を」では、「同等効果の法則」を説きます。見かけの相似に惑わされてはいけません。
「6.センス・オブ・ヒューマー」...ユーモアや洒落の翻訳はほとんど不可能といつていいのではないか。その情況のをかしみを、どのやうな日本語で表現するのか。これは教へてできるものではありますまい。自ら磨くものでせうね。
「7.常識と想像力を働かせよう」...ある欠陥翻訳をテクストに、無神経な翻訳の実例を示します。そしてこれらは、ほんのわづか「常識と想像力」を働かせたら避けられる失敗が多いのです。自分の訳文を推敲しないのでせうかね。

翻訳を目指す人はまづ本書を読みませう。実例や演習問題も多く、真面目に取り組めば読前と読後ではかなりの差が出てゐることでせう。

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