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中国ニセモノ観光案内


中国ニセモノ観光案内 (講談社+α文庫)中国ニセモノ観光案内 (講談社+α文庫)



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中国ニセモノ観光案内
田中淳【著】
講談社(講談社+α文庫)刊
2008(平成20)年5月発行


ニセモノ大国といはれる中国。「まえがき」で著者はイキナリ「中国のニセモノ体質は未来永劫、変らない」といふのが結論だ、と断じます。長年に渡り他国から国土を蹂躙されてきた歴史が関係あると分析してゐます。
さうかも知れません。とにかく未来の展望が描けない国でしたから、「今さへよければいい」といふ刹那主義がはびこるのも首肯できるところであります。

DVD海賊版は、最も知られるところですが、以前のやうに粗悪なコピー品ではないさうです。画質も本物と変らず、映像特典などは本物よりも充実してゐるとか。これに関る人たちの技術はすこぶる高く、本人たちもプライドを持つて(?)ゐるやうです。これだけのウデがあるなら、もつと別の、まつとうな方面で活躍できるのではないでせうか。
ニセモノを作る側は「需要があるから作るだけ」と言ひ、買う側は「安いから買ふのよ」とニセモノと知つて購入する。まさに今が良ければそれで良し。知的財産といふ概念はこの人たちの頭にはまるで無いのでせう。

マクドナルドとケンタッキーのパクリである「マクタッキー」。著者の報告によると、味は本家よりもいいかも...と意外な言葉。ここでも、これだけ美味しいものを提供しながら、店は怪しいニセモノ。もつたいない話です。
それとは別に、日本人にお馴染みのニセモノ食品。北京市工商局の調査結果では、控へ目に見積もつても300品目のニセ食品が出回つてゐるさうです。これでは、一般市民が本物を手に入れるのはギャンブルみたいなものでせうか。
例へばニセ豚肉を作る手順が説明されてゐますが、これまた手が込んでゐる。DVDと違ひ完成度は高くないので、市民の評判は悪いのです。

さらに、雨が降つて欲しくない日には「ニセ晴天」、はげ山を手つとり早く緑にするため、山に緑のペンキを塗る(!)「ニセ緑化」、中国版新幹線工事に使はれた「ニセ石灰石」(恐ろしい)、「ニセ純金」「ニセ公文書」「ニセパンダ」(犬の毛をパンダ色に染める...)と、枚挙に暇がないのであります。
では本書は、これらニセモノにまみれた中国を非難し糾弾する目的なのかといふと、さうではありません。著者は、中国のかういつた姿勢は今後も変らないと見てゐます。本書はタイトル通り、ニセモノを通した中国の裏観光ガイドと申せませう。この呆れた世界を笑ひとばせ、といふところですね。読み物として面白い一冊でした。

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