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オーケストラ楽器別人間学


オーケストラ楽器別人間学 (新潮文庫)オーケストラ楽器別人間学 (新潮文庫)



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オーケストラ楽器別人間学
茂木大輔【著】
新潮社(新潮文庫)刊
2002(平成14)8月発行


もつと学術的な内容かと思つてゐましたが(笑)。
タイトル通り、楽器とそれを演奏する人物の相関関係を探る書物であります。

「先天的にそーゆー性格の人間がそういう楽器を選択する、という一面と、その楽器に長くふれていると後天的にその楽器にマッチした性格が形成されてくる、という二つの面がある。これを楽器選択運命論、楽器別人格形成論と仮に名づけよう」

といふ訳で、第1章「楽器選択運命論」 どのやうな人がその楽器を選ぶのか。例へばフルート奏者は北国出身、親は銀行員か公認会計士、趣味は時計の分解修理と原書の翻訳、天秤座、B型、酉年など。具体的な奏者の名前が茂木氏の脳内にあるのでせう。それぞれの楽器に対する世間のイメエヂと併せて、強引に性格付けをします。読者は、そんな馬鹿なと言ひながらも読ませられてしまふのです。
第2章は「楽器別人格形成論」 その楽器を演奏する人はいかなる性格になるのか。これまたオーケストラの各楽器毎に、ごていねいにも「音色」「演奏感覚」「合奏機能」の3点から論ずるのであります。ここまで立派に冗談的分析をするのは若干偏執狂めいてきますね。確かにうなづける部分も多いのだけれど、実際のオケマンが読めば、更に実感的に「さうさう」と納得し爆笑するのでせう。ちよつと徹底しすぎて、私程度の知識の者が読むと、少しついていけない部分もあると告白しませうか。
第3章「楽隊社会応用学」...有名人のあの人だつたら、どんな楽器がふさわしいのかを論じてゐます。とりあげる人物は芸能人が多いですが、デューク・トウゴウ(ゴルゴ13)や山岡士郎(美味しんぼ)など架空のキャラクタアも登場します。完全に遊んでゐますね。
第4章「フィールドワーク楽隊編」の「楽器別機能データファイル」を読むに至つて、茂木さんは本来音楽家よりもつと向いてゐる職業があつたのではないかと夢想しました。いや、これは良い意味で。唐突ですが、映像監督の河崎実氏の著書『ウルトラマンはなぜシュワッチと叫ぶのか?』といふ怪作を思ひ出します。「ウルトラマン四十八声」と題する研究は馬鹿馬鹿しさを通り越して感動する程ですが、それに通づる論文であります。
私が実際に楽器を演奏する人物ならば、本書の内容はより興趣が高まつたでありませう。

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