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小川未明童話集 赤いろうそくと人魚


小川未明童話集 (新潮文庫)小川未明童話集 (新潮文庫)



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小川未明童話集 赤いろうそくと人魚
小川未明【著】
新潮社(新潮文庫)刊
1951(昭和26)年11月発行
2003(平成15)年 5月改版


小川未明であります。我我が思ひ浮かべる童話とはいささか趣きが違ふのであります。
勧善懲悪とは無縁であり、従つて教訓的ではなく、寓意もあまり感じられません。
個人的に感じるのは、人間は何と手前勝手で他愛無い存在でありませうかといふことです。未明童話では人間は何だかどうしやうもない役回りが多く、動物や植物、時には無機質の物体が感情豊かに自己主張するのでした。

「飴チョコの天使」といふ作品があります。飴チョコの箱に描かれた天使の絵の話です。これらの天使はそれぞれの運命に従ひ、破つて捨てられたり、燃やされたり、泥濘の道に捨てられ荷車の轍に轢かれたりするのです。東京から田舎の店先で1年間売れなかつた3個の飴チョコは、東京の孫に送るからとお婆さんに買はれ、東京に戻ることになりました。さて、それから...
商品の箱や袋に描かれてゐる人物などが気になることはありませんか? 唐突ですが、私は「たわしの革命児」キクロンの袋に描かれてゐる女の人がとても気になります。彼女はキクロンを手にしてゐますが、そのキクロンにも同じ女性がやはりキクロンを手に持つて...といふエンドレスになつてゐます。そんな私にとつて「飴チョコの天使」は、まことに心にフィットする物語でした。
それから「負傷した線路と月」。おほげさに言へば、この小編はこの世そのものを活写してゐます。まことにドラマチックで、愛情に飢ゑた人が読むとすすり泣くのではないか。「二度と通らない旅人」も私好みであります。

表題作「赤いろうそくと人魚」や「野ばら」、「金の輪」などは割と有名で語られる事も多いのですが、それ以外の作品も佳品揃ひと申せませう。ぜひ読んでくださいな。
では、おやすみなさい。

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