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ヘタな人生論より徒然草


ヘタな人生論より徒然草 (河出文庫)ヘタな人生論より徒然草 (河出文庫)


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ヘタな人生論より徒然草
荻野文子【著】
河出書房新社(河出文庫)刊
2006(平成18)年10月発行


著者は有名な予備校の先生であります。この場合、「有名な」は予備校にかかるのか、先生にかかるのか。ま、両方でせうな。
本屋で働いてゐた頃から、古典の参考書コーナーでは「マドンナ古文」が幅を利かせてゐました。この世界も人気商売、長年第一線であり続けるのは簡単ではありますまい。本書を読むと、人気があるのもうなづけるのであります。

若い頃は「人生論」が嫌ひで「徒然草」が嫌ひだつたといふ著者。そんな人が『ヘタな人生論より徒然草』を書くとは愉快であります。なぜそんな気になつたのか。不惑を越えて惑ふことが多くなり(とても共感します)判断基準を示すものを求めた結果であることがひとつ、そして本職の古文教師として「徒然草」は避けられず、全段読む必要があり、さうすると以前と違ふイメエヂになつてきたことがもうひとつの理由ださうです。

確かに「徒然草」には、天邪鬼の頑固爺といふ印象が強いですね。しかし荻野先生の実体験を中心とした解説を読みますと、現代に通づるメッセージがたくさん含まれてゐることが分かります。虚心坦懐。
即ち、
「けっきょく騙される多数派、人の本質を見抜く少数派」(第一九四段)
「何もしない批評より、偽善でも行動を」(第八五段)
「人を質す愚かさ、わが身を正す大切さ」(第二三三段)
「無責任な飼い主は、ペットも他人も傷つける」(第一二一段)
「一生は一瞬の積み重ね、ひたすら今を大切に」(第一〇八段)
等等は、若い頃でも言葉では理解出来るやうな気がするものの、実体験の乏しい観念的な捉え方になりがちであります。私のやうな凡人は実際に経験しないと真に身につかぬもので、その時はもう手遅れだつたりします。悲しいなあ。
入手は簡単なので、一度読んでみては如何。私ももう一度「徒然草」を読んでみたくなりました...

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