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邦画の昭和史 スターで選ぶDVD100本


邦画の昭和史―スターで選ぶDVD100本 (新潮新書)邦画の昭和史―スターで選ぶDVD100本 (新潮新書)



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邦画の昭和史 スターで選ぶDVD100本
長部日出雄【著】
新潮社(新潮新書)刊
2007(平成19)年7月発行


作家・長部日出雄さんの邦画ガイドブックであります。
映画は監督で観るものといふ定説に拘泥しますと、抜け落ちる作品が多数出てしまふといふのださうです。そこでサブタイトルで「スターで選ぶ」と謳つてゐます。

タイトルは「邦画の昭和史 スターで選ぶDVD100本」ですが、平成の映画も含まれてゐるし、DVD100本といひながら未DVD化の映画も選んでゐます。
さらに、「スターで選ぶ」の部分も、吉村公三郎・小津安二郎・溝口健二・成瀬巳喜男といつた監督論が飛び出して徹底されてゐません。
要するに、タイトルで内容を表してゐるのは「邦画」の部分だけですかな。

選ばれる映画はおほむね順当なものでせう。もちろん100人ゐれば100通りの選定が考へられますので、あくまでも長部氏が選ぶ100本であります。読者としては、細かいところに目くじらを立てず楽しむのが良い。
基本的に映画を娯楽として捉へてゐるのが良いですな。分かりやすい。次のやうな部分は、大いに首肯するものであります。

「...ある時期から邦画の一部の現場に、観客に解りやすくするのは通俗的で、解りにくくするのが芸術的、映画というのは監督の思想(そんなもの、きみにあるのかね?)を伝えるための手段で、スターを綺麗に撮ることなど二の次、三の次、あるいは問題外という不可思議な迷信が蔓延しはじめた。(中略)批評家の一部も、解らない、といったのでは沽券にかかわるから、意図不明な難解な作品ほど、ことさらに褒めそやす。
 無視された観客が、映画館から去って行ったのは、理の当然であった」

そんな長部氏でありますから、東宝ゴクラク座も大映カツライスも躊躇無く選ぶ。愉快であります。この種の本では、さういふ「通俗映画」を選ぶと、それこそ「沽券にかかわる」として、頭から無視されるのが通例でありますからなあ。
しかし本書で、私が一番共感したのは、『五番町夕霧楼』において、佐久間良子の唇が格好良いと述べ、「この唇を目にするだけでも一見の価値がある佳作」といふ部分であります。本当にその通りなんですよ...

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