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プロ野球 トレード光と陰


 
プロ野球 トレード光と陰
近藤唯之【著】
新潮社(新潮文庫)刊
1991(平成3)年11月発行


トレード光と陰、といふことですが、実際には陰の面が多いやうですな。
つい最近も岩隈久志投手(東北楽天ゴールデンイーグルス)のポスティング不成立のあふりを喰つて、同僚の渡辺直人選手が金銭トレードに出されてしまひました。一寸先は闇。何が起るか分からないのであります。

26篇のトレード裏話が紹介されてゐます。多いですね。もう少し絞つて詳しく知りたい案件もありますが、著者としてはもつと多くの事例を紹介したいと考へたのかも知れません。
世の中には、小説でも書けないやうな偶然のお陰でその後の人生が変るといふ例がいくつもありますが、近藤節にかかると、これがまことにドラマティックな事件になります。

監督との喧嘩がなければ放出されなかつただらう須藤豊、その驕りから落合博満を中日球団にとられてしまつた讀賣球団、デービスの逮捕がなければ中日で燻つてゐたままだらうと思はれるブライアント...
以前に比べればトレードの負のイメエヂは少なくなつたかもしれません。しかし誰かが言つた「本当に必要な戦力と思つてゐるならトレードに出さないよ」といふ言葉も真実。「放出」なんて嫌な言葉ですね。関西の人はハナテンと読みさうですが。

今はFAとかポスティングシステムとか新しい制度もあり、選手の待遇も改善が見られるやうです。しかし、本書の時代背景は少し古くなつてしまひましたが、やはりトレードの本質は変つてゐませんね。入団時はちやほやするが、いざ退団する選手には北風のやうに冷たい。プロスポーツの華やかな面だけではなく、陰の面も否応なく示すのでした。近藤節。

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