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バールのようなもの


 

バールのようなもの
清水義範【著】
文藝春秋(文春文庫)刊
1998(平成10)年9月発行


めでたい正月ですが、私は大晦日に車を運転中、赤信号待ちしてゐたら、後ろから追突されまして、まことに凹んでゐます。何でこんな日に...保険屋もこの時期対応してゐないし。
そもそも相手は任意保険に入っていないと! その癖あんな無謀運転するのかと呆れるところであります。
私はおほむね2年サイクルで追突されるのですが、まあ大体は面倒くさいので「まあいいですよ」で済ませてしまひます。しかし今回は悪質なのでお灸をすえてやらうと思ひます。

さらに大好きな高峰秀子さんの訃報。2010年は大物俳優が相次いで亡くなりましたが、最後の締めで超大物女優が逝つてしまひました。
またもや追悼上映として、まづ「乱れる」を観ました。成瀬巳喜男監督の名作。若大将が演技をしてゐます。
あとは「女が階段を上る時」「煙突の見える場所」「娘・妻・母」などを予定。今年は高峰正月です。

こんなマイナス気分を吹き飛ばすには、清水義範氏が最適であります。
本人も「あとがき」にて、自分は正月号用に原稿を依頼されることが多いと述べてゐます。浮かれた正月気分に合ふ小説家として認識されてゐると分析し、だからといつて「ワシはいろものか!」と怒る事もなく、正月にふさわしい作品を書くのださうです。

「バールのようなもの」は、ニュースなどでよく使はれるフレーズですね。シャッターや金庫などをこじ開けて金品を盗む時に使用する泥棒用具。「バール」ではなくて「バールのようなもの」。
主人公は、一体これはどんなものかと疑問を持つのですが、周囲に分かる人がゐない。そこで金物屋へ実物を買ひに行きますが、やはり「バールのようなもの」は置いてありません。仕方なくバールを買つて引き下がるのですが、それが原因で、後日彼に大変な事態が巻き起こるのであります。やはり、関りあひになるのではなかつた!

その他11篇の小説が収録されてゐます。いづれも思はず頬がゆるむ作品群であります。
ところが、どうやらこれも絶版みたいです。復刊を願つて、寝ることにします。
では。

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