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くれない


 

くれない
佐多稲子【著】
新潮社(新潮文庫)刊
1952(昭和27)年5月発行


本来なら『くれなゐ』となるところですが、新潮文庫収録作品は「文語文は旧仮名のまま、口語体は新仮名に改める」方針なので改変されてゐます。1938年作品。

佐多稲子氏の体験が色濃く反映された小説であります。主人公の明子が作者の分身と申せませう。
明子と夫の広介は、ともにプロレタリア文学に携はる。夫は弾圧にて2年間の投獄生活を余儀なくされ、また娑婆に戻つてきたのであります。
当時仕事をする女性は、よき妻としての勤めを疎かにするものといふ目で見られることが多々あつたやうです。しかも夫婦揃つて同じ文筆業なので、いろいろ軋轢があるみたいです。

そんなこんなで、夫は外に女をこしらへて、一緒に住むなどと明子に宣言します。彼女は夫に「どうぞ」という反応をするけれど、苦しむのである。夫は屁理屈ばかりこねて自分を正当化するやうな男に感じます。こんな奴のどこが良いのかね。
結局夫の愛人とやらは悪い女ですぐ消滅、結末までやりきれない。

この明子(佐多稲子)の生き方といふのは、現在の女性からするとどう映るのでせうね。本作が今でも読み継がれてゐるとは余り思へないのですが...



源氏川苦心の日々充実も更新頻度が落ちてまいりました。公私ともべらぼうに忙しくなり、読書時間が減少してしまつたのと、仕事関係で読まねばならぬ本が増えたのが原因の一つと思はれます。さういふ無味乾燥(と思はれさうな)書物をここで取り上げても仕方がないし。ああ、腹いつぱい本を読みたいなあと渇望するのでした。

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