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ん―日本語最後の謎に挑む


ん―日本語最後の謎に挑む (新潮新書)ん―日本語最後の謎に挑む (新潮新書)



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ん-日本語最後の謎に挑む
山口謡司【著】
新潮社(新潮新書)刊
2010(平成22)年2月発行


発売以来気になつてゐた一冊であります。やうやく読む。
「ん」といふのは、長い日本語の歴史から見ると、新しい文字ださうです。
たとへば『古事記』には、文字どころか「ん」と発音する部分は皆無だとか。

しかし現実には「ん」の音がない筈がありません。それを表記する必要から、西暦800年くらゐから「ん」「ン」が登場したのだと著者は語ります。
「ん」の起源をたどると、空海とサンスクリット語まで遡るとは思ひませんでした。最澄・安然・明覚...多くの先達が「ん」のために力を注いだのあります。感謝。第三章-第五章のあたりや第七章の論争の話などはコーフンしますね。予想以上に力瘤の入つた書物であります。

「ん」の音は下品として好ましく思はない人がゐるのは、どうやら今に始まつたことではないらしい。文字の登場が遅れたのも関係がありさうです。著者の仏人である奥様は、著者が「んー」といふと抗議するらしい。耳障りなのでせう。代りに「ムムム」と発すれば問題ないとか。
ここで唐突に思ひ出すのが、故ちばあきおさんの漫画であります。彼の漫画における会話文には、極力「ん」を廃してゐるやうに思はれます。
相槌で「うん」とでも言ひさうなところは「うむ」とか「む」だし、「○○なんだ」は「○○なのさ」となります。バントのサインをイガラシくんに確認にいくと、「む。ちと危険だがな」と中学生らしからぬ返答。
ちばさんも、「ん」の音を嫌つてゐたのでせうか...

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