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原発労働記


原発労働記 (講談社文庫)原発労働記 (講談社文庫)


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原発労働記
堀江邦夫【著】
講談社(講談社文庫)刊
2011(平成23)年5月発行


なまなましい記録であります。
かつて『原発ジプシー』として発表されたものに、27年ぶりに加筆修正されたうえで改題されたものであります。
このタイミングで復刊されるのは、今まだ進行中の福島第一原発の事故が関係してゐるのでせう。
「まだ原発事故により苦しんでゐる人が多いのに、商売に利用するとは怪しからぬ!」といふ意見もあるでせうが、一読してやはり今こそ読まれるべき本であると思ひました。

1978年9月のこと。著者は、原発の<素顔>が見えぬ「いらだち」を理由に、自ら原発で働くことを決心します。
関西電力美浜、東京電力福島第一、日本原電敦賀の3箇所を渡り歩き自らの身体で「原発作業員の実態」を探るのであります。当時すでに妻子があつたやうですが、大した度胸であります。
電力会社の下請け、孫請け、曾孫受け(「協力会社」といふらしい)の作業員は相当危険な仕事をさせられてゐるのだらう、と漠然と考へてゐましたが、予想を上回る劣悪な環境の中で仕事をしてゐたのですね。

原発の<素顔>が見えない、と思つたのは当然で、とにかく隠蔽するからであります。特に被爆、事故に関する話。
現場の問題点を改善もしないまま、ただ怪我をしないように、との訓示。怪我をしたら電力会社に謝罪する(逆ではないのか)。労災はもちろん認めない。怪我人が出ても救急車は呼ぶな、マスコミに事故を嗅ぎつかれると、苦しむ怪我人を前に言ひ放つ。

原発の<素顔>が見えた時には、著者は身体の限界を感じます。事故による骨折と、浴び続けた放射能。いくら若くても長続きするものではありますまい。身体を張つた真に貴重なルポと申せませう。

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