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英会話あと一歩


 

英会話あと一歩 とにかく話せちゃうのよ
マーシャ・クラッカワー【著】
光文社(カッパ・ブックス)刊
1980(昭和55)年6月発行


NHKの語学番組で人気者だつたマーシャ・クラッカワーさんの、たぶん最初の著書であります。古い本ですがね、いや、これは良い。
本書一冊で会話が上達するものではなく、英語をモノにするための発想の転換を促すといふ優れものです。

全体で9章に分かれてゐまして、従来の英会話書にも載つてゐさうなパートは、精々第1章「センテンスは短く、短く!」と第2章「全部聞きとらなくたっていいの」くらゐのもの。
当時は英会話の本と謳ひながら、文法中心の構成の本がほとんどだつたやうに思ひます。学校英語の域を出てゐなかつたと申せませう。
マーシャ・クラッカワーさんは米国人の発想と日本人の発想の違ひを挙げて、英語を話す時は米国人的発想を身につけなければいけないと諭すのであります。学校の先生はさういふことは余り教へてくれませんでしたね。テストに出る項目は丁寧に解説してくれましたが。
英単語を詰め込むよりも、会話上達にはその方がずつと近道なのでせう。

さういへばこんな話を聞いたことがあります。米国でトイレに入つてゐる時にノックされたら、何と返すか。真面目な日本人は、文法的に正しい言葉を何とか探し出さうと焦る。「ええつと、何だつけなあ...サムワンインかな?」などと考へてゐるうちに扉を開けられてしまひます。
しかしこんな時は「ゴホン」と一つ咳払いをすれば事足りるといふ話であります。

また、当時の日本人は米国人を理想化してゐました。ベトナム戦争とかでかなり威信を落としてしまつたが、それでもなほ米国は自由の国で、世界最高の国家であると何となく思つてゐました。
それを「そんなことはないのだよ。米国も同様に問題点・悪い点もあります」とばかりに語つてくれたやうな気がしてゐます(実際にはさういふ発言はないのだけど)。

ま、七面倒なことはよろしい。読み物として普通に楽しめるのであります。といつてもさすがに絶版ですが。
文庫版も出たらしいが、それも絶版のやうです。残念。

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