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頭にいっぱい太陽を


頭にいっぱい太陽を

頭にいっぱい太陽を
イヴ・モンタン【著】
渡辺淳【訳】
講談社刊
1982(昭和57)年10月発行


イヴ・モンタンが亡くなつてからすでに18年。
世界的な大スタアで、「世界の恋人」なんて呼ばれてゐました。
シャンソン歌手・俳優としてひとつの頂点に立つた1956年頃の自伝であります。当時講談社から同じ渡辺淳さんの翻訳で刊行されました。
自伝といつても、テープレコーダーに向つて喋つたものを編集したもののやうです。本人が終りの部分でさう言つてゐますから。
「わたしは青い肘掛椅子にかけて、わたしの人生の一片を地球のように容赦なく回る機械に語り終えたところである」とあります。

そして26年後の1982(昭和57)年、装ひを変へて再び世に出たのが本書。
四半世紀の時を経て復刊されるとは、一体この時期に何があつたのか?
実はイヴ・モンタン、1968年のオランピア劇場でのリサイタルを最後に、歌手活動を停止してしまつたのであります。
俳優に専念し、それはそれで充実した仕事ぶりだつたのですが、やはり彼のファンはシャンソンを聴きたいのです。
その渇望感が沸騰した1981年、遂にモンタンは13年ぶりに再びオランピア劇場に立ち、歌つたのであります。
当時「モンタン復活!」の一報は、歓迎とともに世界を駆け巡つたものです。
そしてその興奮さめやらぬ1982年、本書は復刊されたのでありました。

貧困と迫害の幼少時から、度重なる辛苦を舐めながら、エディット・ピアフの知己を得て映画スタアとして成功する―
ひとことで言つてしまへばさういふことですが、理不尽な暴力に対する反骨心が全篇に溢れてゐます。少し翻訳文が生硬な感じがしますが、まあ言はぬことにしませう。
かかる体験が政治的な発言・活動に向かはせたのでせう。実際モンタンは大統領選出馬の噂が何度も出たくらゐです。
もつとも、ファンとしては余計な事に力を分散させて欲しくなかつたので、これで良かつたと思ひますが。

なほ、本書を現在入手するのは、少々難しい...

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