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ひめゆりの搭


ひめゆりの塔 (講談社文庫)ひめゆりの塔 (講談社文庫)



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ひめゆりの搭
石野径一郎【著】
講談社(講談社文庫)刊
1977(昭和52)年6月発行


本書『ひめゆりの搭』は、その悲劇の僅か4年後、1949(昭和24)年に発表されてゐます。
おそらく当時の本土人(やまとんちゆう)は、ひめゆり部隊の存在すら知らなかつたでせう。
ノンフィクションではなく小説として書かれてゐるので、史実そのものではありません。
しかし大筋では、主人公伊差川カナを通して、実際の流れをなぞつてゐるやうです。

南風原野戦病院に、移動指令の伝達が飛び込んできました。軍医長は恨み節です。
「せめて二時間早く指令を出すべきだよ。こんな時間に、そとへ出すなんて法があるもんか!伝令の小僧めら、道草していやがったんじゃねえのか」
死の行進が始まるのです。
カナは独力で、或いは助け合ひながら行進を続けますが、冷静な思考を失ひません。
もうこのいくさは終つてゐる、投降するのが一番なのだが―

現在でも基地問題などで、沖縄は振り回されてゐます。
結局大和人は、沖縄のことは他人事と感じてゐますね。自分も含めて。
「こんなちっぽけな島のために、こうしてわれわれは命をかけてきてやっているんだ」
「友軍機は、大事なところで戦ってござるんだ!おら、ちゃんと知っとる。―こんな貧乏な島なんか、あとまわしでじゅうぶんだい!」
まあここまで極端なことを言ふ人は現在滅多にゐないでせうが、事実を良く知らぬままに思ひつきの意見を押し付けることは避けたいものであります。
本書は、その入門篇として今後も存在価値を持ち続けるでせう。

追記 沖縄の北谷町に、親戚がゐます。カデナエアーベースのすぐ近くです。いはゆる嘉手納基地からも直線距離で3キロ程度。しかし全然飛行機の音などしないのですよねえ。聞いてみても、いつもこんな感じで静かだと...
不思議であります。

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